パリマダムが教えてくれた質素で贅沢な暮らし

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物との付き合い方は生き方に通じる

少し前に「フランス人は服を10着しか持たない」という本が流行りました。

本当に気に入ったものを厳選し少ない物で暮らすことは

心豊かに生きることだと教えてくれる本ですね。

パリのマダムの暮らしぶりから言葉ではなく暮らし方と背中を見て、

教えて貰った気がします。

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それは30代半ばの事でした。

私はパリでホームステイをしたことがあります。

幸運にも、お料理の先生で元デザイナーさんのマダムの

家が私のステイ先です。

拙い英語での会話ですから、色んなお話は出来ませんでした。

でも、家の所々、彼女の美意識・イズムが感じられました。

 

そして物との関係・選ぶ姿勢は生き方が出るのね、と衝撃を受けました。

センス抜群、高い美意識と審美眼を持ち合わせた

パリマダムの暮らしぶりから、日常の上質について綴ってみます。

マダム流の心地よい暮らし

マダムの家のインテリアは物が少なく、厳選したものを飾る、

そんな洗練された空間でした。

日頃、物に溢れた空間に慣れていた私なので、

まずは物が少ない心地よさに感動しました。

余計な物がない。でも殺風景な訳ではない。

美しいものが大好きで、あまりゴテゴテしたものを好まない。

でもインパクトのあるものを適所に適量。

そんな上級者向けのお家がマダムの家の特徴です。

夢のようなディナータイム

毎晩楽しみにしていたのは、夕飯です。

さすがお料理の先生だけあって、味だけでなく、

目からもご馳走頂く楽しみがありました。

テーブルウエアやセッティングが素敵で。

と言っても、毎日違うデザインのお皿がとっかえひっかえ

使われた訳ではありません。

メインの大きなお皿は毎日同じ。

どんなお料理にも映えるよう、個性的ではなく、

シンプルなんだけど質感の良い上品なデザインなのです。

 

そこに1~2種類、その日のメニューに合わせたテーブルを

彩るアクセントとなるお皿やらクロスが登場します。

そのお皿やクロスだって、1週間に2~3回出てくるので、

マダムの持っているお皿の種類はそれほど多くはないはずです。

というのも食器棚も大きくはありませんでしたから…。

海外のインテリアが素敵に見える理由

海外のインテリアって何となくオシャレに見えませんか?

その一番の理由は照明にあると思っています。

 

照明スクールに通っていた時に、日本の照明は明るすぎて味気ない。

と照明のプロである講師は仰っていましたっけ。

天井から部屋全体を煌々と照らす明るい照明。

一方、海外は暗がりを楽しむのです。

必要な所に必要なだけの明かりを足す。

これが海外の照明です。

 

「本当だ!」マダムのお家に一歩足を踏み入れた時に、

天井がスッキリしていることに、ちょっとした喜びがありました。

さて、陽が暮れた時の雰囲気がどんな感じになるのか?と。

 

手ダイニングテーブル周りには、ほのかなスタンドの明かりが灯りました。

そしてお部屋の各所のスタンドランプから、

良い感じの明かりが足されるのです。

照明が変わると感情が変わり、時間の流れも変わります。

 

毎晩のテーブルが素敵に見えた理由の1つは、

ほの暗い照明が醸し出したものでもありました。

お気に入りとの付き合い方

ある日の朝食で、マダムの人柄を感じる光景を目にしました。

朝食はキッチン内の小さなテーブルで頂くのですが、

たまたま目に入ったのがニワトリの形をした

とっても愛らしい器です。

その器は所々、接着剤で修理されていたのです。

マダムの几帳面な性格上、美しいものだけを用いる

というイメージがあっただけに、ちょっとした驚きです。

 

でもしばらくして、マダムの愛情深さも感じました。

壊れて完全ではなくなってしまった物でも、

気に入ったものは直して愛用し続ける。

この姿勢がとても美しいと思ったのです。

 

もしかしたら、素敵な思いでが詰まった器なのかな?

なんて思ったりしました。

お気に入りの探し方

センス抜群のマダムが1度だけ素敵なインテリアショップを

案内してくれたことがありました。

そのお店のセンスの良さは言うまでもありませんが、

私が今でも忘れられないのは、

マダムが物を買うまでのプロセスです。

 

道中で、何度か

「マリコ、ちょっとごめんね。あそこの食器見てくるわ。」

とショーウィンドウがある度に声にしました。

そして「この前壊れてしまったから、新しいカップを買おうと思って。

こうやって、もう何か月も下見しているのよ」と言ってました。

「ええっ!!凄すぎる!」声にはしませんでしたが、これが私の本音。

 

私も簡単には物を買わない方ですが、何か月も、しかもカップを?

最初は単純に驚きでしたが、段々とそのこだわり様がとても素敵に映りました。

そっか… 1つの物をこんなに大切に選ぶからこそ最後まで使い切るし、

沢山持ってアレコレ使いまわさないのね。なんて豊かなんだろう…」

ある種の憧れの気持ちにもなりました。

 

こうして1つ1つ真剣に選び、

自分の人生の仲間に招き入れるような物選び、

豊かなだけでなく、とても贅沢だな…と思いました。

 

こうして選んぶと審美眼も備わり、また物との繋がりも強くなります。

ただの物ではなくストーリーを持った宝物のような物たちだからこそ、

マダムの家が心地よかったのだと納得でした。

まとめ

私は小さい頃から毎日の暮らし方と感情に、

人一倍、強い関心がありました。

いつも不安やネガティブに覆われていた感じがしていたからです。

だから私がご機嫌でいることとその術が、何よりも私には大切でした。

 

幼少からの試行錯誤を経て、日常の中でのお気に入りを見つける中、

毎日の暮らしが輝き出した経験があります。

幸せを分解すると、毎日の幸せ。

これに気づきました。

 

そしてパリのマダムと過ごすことで、

何気ない毎日を贅沢に豊かにするカギを教えて貰った気がしました。

それは金額的なことでなく、どれだけの思いを持って時間をかけて、

そのプロセスを楽しめるか?

手に入れた後も、それを愛おしんで毎日の暮らしで大切に使うか?

 

マダムのようにはいかなくとも、

本当に感情が動いた物を選ぶことで、

審美眼が磨かれ、使うことで豊かな感情と時間を手にできる。

 

そんな日常を重ねながら人生までも豊かにしていけたらと思っています。

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